K.Yairi RF-701N(1999)
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RF-701N (1999)
2018年(平成30年)4月30日ヤフオクで落札、その翌日の5月 1日には自宅に到着。ギターの 売買での最短記録を更新しました。売り主が誠実な人だったことと長野県在住で比較的近かったことも理由でしょう。ギターを買ったのは4年ぶりでした。この「ギター紹介」を書くのも久しぶりで、いささか緊張しちゃいました。(^^ゞ
K.Yairi のギターを入手したのはこれで5本目ですが、過去に入手した G-1F (2本)と SY-5 はともに放出してしまったので、生き残っている Alvarez ・ Yairi DYM-95Vとともに久しぶりの2本めということになります。
手放した 2 機種も含めての K.Yairi 製ギターについての共通点は、とにかく使われている材が良質なことと作りがていねいだということ。したがって材についての 心配はまったく不要なので、気にすべきなのは単に鳴りっぷりや弾き心地が気にいるかどうかという点だけでした。
さらに最近ではどの材がいいとかどの材が欲しいといっ た欲望や興味はほとんど薄れているので、要は気に入れば何でもいいということですね。
ギター選びなんて、本来はそれでいいんじゃないかと思うんですけどね。
今回このギターをゲットしたのはたまたまヤフオクを眺めていて見つけたからです。K.Yairi は DYM-95V だけで充分満足してはいたのだけど、小型ボディの RF シリーズなどが含まれるエンジェルシリーズというのが少し気になっていました。
というのは、このシリーズはそのボディシェイプやサウンドなどに K.Yairi ならではのオリジナリティを感じる機種が多いからであり、久しぶりに何か掘り出し物はないかなと思って K.Yairi の出品をいくつか観ていたら、今回の K.Yairi ・ RF-701N が出ていたのでした。スタート価格も手頃だったのでウォッチしていましたが、スタート価格で一人入札していたものの、その後は誰も手を出す気配がありません。そして終了 30分前にボクシングで言えばジャブを打ったつもりで¥500 アップの入札をし最高入札者になりましたがその後はまったく対抗馬が出てこず、あっさりとそのまま落札できてしまいました。(笑)
いささか拍子抜けするくらいでしたが、競合者が出てこなかったのはおそらく出品者がきちんとした人で、打痕などの傷跡も大きな画像を出したりしていたから、それを観てけっこう重症じゃないのかと思ったのか、あるいはイレギュラーのプロトタイプモデルだからカタログにも載っていないし Web を観ても情報がまったくヒットしないから不安に思ったのか、ともかく競合者が現れずに安く落札できたのはラッキーでした。
前述のとおりこのギターはWeb にもカタログにもデータが載っていないので、前のオーナーのコメントを引用させてもらうことにします。
トップ:スプルース単板
バック&サイド:マホガニー
ネック:マホガニー
指板・ブリッジ:ローズウッド
ナット幅:42㎜
スケール:645㎜
弦高は12F上で6弦・1弦とも約2mm以下と低めでとても弾きやすいです。スケールはボディサイズの割にしっかりと長くとっています。
ネックもほぼストレート、フレット残は7~8割くらいです。
トップに打ち傷・ネックに細かな傷が、ヘッドの縁に若干塗装剥げがあります。
ということで、スペックだけで観るとエンジェルシリーズの RF-65 あたりとよく似ていることがわかります。おそらく、クラスとしてはそのあたりだということでしょう。また前述のG-1Fともほとんど同じようなスペックと言えます。
ぼくが今回このギターを落札するに当たってもっとも危惧していたのがネックの細さでした。ナット幅 42mm はぶっちゃけ細すぎてぼくの好みからはほど遠いのですが、鳴りは期待できるかも知れないと思って落札しました。以前の G-1F を 2度買って 2度とも放出したのもそのネックの細さが原因だったと言って差し支えないのですが、今回はあえてまたそれに挑戦してみようと思ったことになります(ちなみに現在所有している DYM-95V はもちろんですが、放出した SY-5 もネックはちょうどよかった)。
で、実際に抱えてみると、そのサイズ感は G-1F とほぼ同様です。細ネックのクラシックギターを抱えているような感じ。ボディの厚みがそこそこあるのでさほど抱えにくくはないですが、ネックはやはり細いです。ネックの形状は基本的にカマボコですが少し三角的な盛り上がりがあるタイプであり、両方のいいとこ取りをしたようにも思えますが、悪く言えばどっちつかずでもあります。ただし完全なカマボコだったらもっと細く感じてしまうのは間違いなかったでしょうから、三角の要素を持っていていくらかでも救われた感があるとも言えます。
前オーナーのコメントにもあるとおり、打痕や小傷はあちこちにありますが、どれも致命的なものではなく、気にしなくても問題ない程度。調整もよくされており、弦高も低くて弾きやすいですがサドルはしっかり高い状態を保っています。このあたりは理 想的ですね。
ローズウッド製の指板がかなりの範囲に渡って少しずつ摩耗しており、かなり弾き込まれているのがよくわかります。1999年製なのですでに 19年経過しており、かなり熟成してきた個体であることがうかがえます。
例によって弦を張って一晩寝かして馴染ませ、満を持して音を出してみました。 軽く弾いても、楽に音が出てきます。素晴らしいレスポンスです。それも全域に渡り、とてもクリアでヌケの良い音が出てきます。どこを弾いても音が詰まるような部分がなく、音量やサスティンも充分で、全体のバランスも悪くない。さすがにそのボディサイズからして低音の迫力などは望むべくもありませんが、全域に渡ってフラットな音量バランスなのが見事で、迫力のあるベースランなどは無理でも、たいていはジャンルを選ばず使えそうな楽器です。ストロークだってそんなに思い切り弾かなければ充分にいけます。
女性に例えてみれば基本的にはとても素直な性格で家事全般オールマイティの頑張り屋さんだけど腕力はさほど強くない。でも言うときはものをはっきり言うし、ちゃんと自己主張もするタイプ。そんな感じのする楽器です。
今回で K.Yairi のギターは4機種目で5本目に当たりますが、どれをとっても音のヌケが良く低い方の音のこもりもなく、スッキリと鳴る印象があります。これが一番の美点でしょう。音色としてもどちらかと言えば硬めですが今まで手にしてきた国産ギターの多くにみられた、耳に刺さるような耐え難いほどの硬い音色のそれらに比べればずっとマイルドで耳当たりが良いのがK.Yairi。したがって、ずっと弾いていられる好ましい音色と言えます。
トータルでは、スケール感などではさすがにコストの違うオール単板の DYM-95V のクオリティには及びませんが、以前所有していた2本の G-1F や SY-5 などよりずっと上質の鳴りの良さ、響きの良さを持っていると思います。
仮にスペック的にはよく似ているG-1F を 20年近く弾き込んだらこのくらいになるのかどうかわかりませんが、個人的には今回の RF-701N のクオリティのほうが上だと思えてならないということは、ぼくは G-1F よりも エンジェルシリーズのレギュラーモデルのRF-65 などの鳴り方のほうが好きなんだろうなと思います。
K.Yairiのエンジェル・シリーズ、けっこう好きかもしれません。こうなってくると同じシリーズでもボディサイズの大きい BL なども試してみたくなったりしそうですね。危ない危ない。(笑)
(最終更新日 2018.5.5)