YAMAHA LJ6(2005) ゲット!

2019年04月29日

 ぼくは10代の頃からYAMAHAのFGシリーズを愛用してきた。その頃の個体はいまだに3本持っていて、そのうちの1本は新品を買って現在まで持ち続けている貴重な個体。その後1990年代半ば頃のおじさんになってからギター探しにハマり、YAMAHAもThe FGとかLL36などを買って試してみたことがあるが、どちらも自分にとっては飽きてしまう音色だったため手放してしまった。
 もっと若い頃にL-8というのも使っていたことがあるが、音色はすごくクリアで良かったけれど、どうしてもその倍音成分の多さや弾き心地などがFGと比べて好みに合わず、それも放出してしまった。このような感じで、YAMAHAは今までFGシリーズ以外を買っても長続きしなかったのがぼくという男なのである。

 ではなぜFGシリーズ以外は長く使えないのか。その理由は明白で、倍音の成分が多すぎるからだと自己分析している。
 倍音成分が多ければ傾向としてゴージャスな鳴りになる。その典型がテリーズテリーやYAMAHAのLシリーズ系の上位機種、それにMartinで言えば4系などだが、ぼくは過去にD-42、D-45CFM、D-45S Custom、そしてOO-45 Customと所有してきてそれらすべてを放出してしまったことがある。要はあまりゴージャスな音だと飽きてしまうタイプなのである。
 YAMAHAで言えばL-8もThe FGもLL36もすべてその理由で放出してきたわけで、ぼくにはYAMAHAはやはり古いFGしか使えないのかなと思っていた。

 しかし、ここに一つ盲点があった。比較的最近のL系の下位機種の存在を忘れていたのだ。具体的にはLL16などの16系と同6系であり、それらは上位の26系や36系などよりも倍音が控えめな音作りがされていて、しかも基本的な骨格は上位機種同様にしっかり押さえた造りになっている。
 それに気づいたぼくはさっそく御茶ノ水に出かけて16系および6系の試奏をさせてもらった。確認のために上位の36系 と26系 も弾かせてもらったが、そこで確認したのはやはり36系 と26系 では倍音が多すぎて、16系でギリギリ、6系なら文句なくぼくの好みの倍音の量であることだった。とくに6系は長いこと使っているFG-600Jにも近い感じの鳴り方であり、弾いていても飽きが来ない。これだよこれ。というわけで、店頭で弾かせてもらったLJ6を購入することも考えたが、そこまでは踏み切れなかった。

 その理由は、現行のLJ6がARE仕様になった際に指板とブリッジがローズウッドに変更されていたからだ。
「ボディの小さいLS以外、指板・ブリッジはエボニーのほうがぼくの好み」という持論があり、それを曲げて現行のLJ6AREを購入する気にはなれなかった(なぜボディの小さいLSはそれにこだわらないかと言うと、LSは特にフィンガーで弾いたときなどにローズウッド指板・ブリッジのほうが立ち上がりのタッチが柔らかくなって耳に心地良いことと低域の量感がやや増す傾向があるため、むしろバランスが良くなることが多いからだ)。
 また、AREになってからはブリッジのサドルの下にパッシブのピエゾ・ピックアップが取り付けられていて、ぼくはそれがあまり好きではないということも大きな理由だった。生音だけで充分だし、サドルの下に詰め物をすることで出音がかなり変な感じになってしまう可能性があるからだ。

 そこでどうしたかと言うと、中古を探す作戦に出た。LJ6の場合は幸い現行機種でもさほどの高価格ではないにせよ、まったくの新品である以上はこなれるまで多少の時間がかかるので、それを考えたら程度の良い中古が見つかればそれがベストだと考えたからだ(ARE仕様になっているのだから最初からこなれているのではないかと思う人は実際に弾いてみるといい。確かにいくぶんはこなれているがやはり新しいギターは新しいギターなのがわかると思う。それが気にならない人にはとても良いギターであると思う)。

 ぼくの場合は中古を買うというとまず楽器店、次いでヤフオクを使っている。前者はWebで在庫を調べたが調べたタイミングが悪かったのかあまり良さそうな個体が見つからなかった。続いてヤフオクで検索したら数本が見つかった。その中の1本がチョイキズありだがぼくの目を引いた。トップの木目が揃っており、かつ14年経過している個体だという。2005年といえばLJが出始めたあたりのはず。YAMAHAの傾向として年数が経過するとともに使用材がダウングレードされたりすることが多いので、新製品が出たらなるべく初期のロットを選ぶほうが得策であることを経験上知っている。その点、今回の個体は願ってもない年代の製品であることになる。

 そこで入札をしたが、スタートがかなり良心的な価格からだったので、様子を見ながら途中で「このくらいならもし見込みが外れた場合にリセールしてもさほど損はしないだろう」という価格を入れておいた。もしそれを上回る入札があった場合は再度考えるつもりだった。
 幸い割安でオークション終了直前まで来たため、2度ほどぼくの入札価格を上回る相手が出てきたが、まだまだ安いと思ったので、2度ともすぐにその上値で入札したらその相手はあきらめたらしく、落札することができた。ぶっちゃけ、中古の相場の半額以下だった。これで鳴りが良かったら大喜びであると思ったが、それが実現するとはこの時点では考えていなかった。

 その後の経過は「ギター紹介」の「LJ6」のところに書いておいたので省略するが、受け取ってから2日経過した現在、絶好調である。受け取り後にぼくがやったことといえば、ブリッジのサドルの当たる溝を念のため掃除したこととナットの溝をほんの少しだけ調整したくらいだが、それだけでも鳴りが変わるくらいに敏感に反応する個体であることがわかった。
 具体的にはその調整によって音のレンジが広がり楽に音が出るようになり、サスティン・余韻がさらに長くなった。14年間の熟成と相まってこれはもう上位機種の鳴りとほとんど変わらないレベルだと思っている。倍音の量はさすがに上位機種よりも少ないが、ぼくの場合はこっちのほうが好みだから申し分ない。

 そんなわけで(どういうわけだ)ひょんなことからぼくのところにやってきたYAMAHA LJ6。我が家では古参のFG-600Jが対抗心を燃やすのは間違いないだろうと思えるほどの鳴りっぷりで、ぼくとしては大満足の1本となったのでありました。(*^^*)

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