2025年9月17日 時代による住宅の仕様の変化など
何度も書いているように、一昨年から今年にかけて新居建築のために走り回ってきたが、現在棟上げまでは終わっており、骨組みはできたという状態で小休止している。内側はコンセントボックスが着いたり玄関ドアや窓の一部が届いたりしており、これからようやく内装と外装が始まるという段階に入っていて、予定ではあと2ヶ月ほどで家自体は完成する運びで、遅くとも年内には引っ越しが始められると踏んでいる。それが一段落したら外構工事を始め、現在住んでいる家の解体を予定している。
現在の家を建てたのは39年前で、足掛け40年目に入っている。その当時と現在とでは、住宅も多くの面で激変した。そのため、今回はいろいろと驚くことばかりだった。それらを思いつくままに書いていこうと思う。
まず、現在の家は断熱・耐震性能が大幅に向上した。阪神大震災、東日本大震災、熊本地震などを経て、耐震性能が重要視されるようになり、エコの観念から断熱性能もやっと注目されるようになった。今住んでいる家は在来木造工法にグラスウールの断熱材、金属のラップサイディングに洋瓦屋根という仕様だが、ぶっちゃけ断熱性能は酷いものだ。窓一つとってみても、合わせガラスではあるがアルミサッシだから断熱性能はないに等しく、 夏は熱く、冬は寒く、空調がとても重要になっている。新しい家はツーバイフォー工法を選び、断熱材は高性能グラスウール、窯業系のラップサイディングにアスファルトシングルの屋根、二重ガラスの樹脂サッシという仕様。これだけで大幅に耐震性・断熱性が向上している。
今住んでいる家は出窓を二箇所設けていた。当時は出窓を作るのが流行っていたのだ。明り取りや部屋の有効面積を増やし、棚の代わりにしたりするためだったが、現在はあまり見られなくなった。ドア一つとっても、今の玄関ドアは西日を受けると火傷しそうになるほど熱くなる金属ドアだが、冬は逆に凍っているかと思うほど冷たくなる。つまりドア自体に断熱性能がないのだ。当時はそれが普通だったし、夏を基準として家を建築すべきだという考えも根強く残っていた。つまり風通しを重視して、少しくらい隙間がある方がいいみたいな考え方だった。だが時代は変わった。春と秋が短くなり、夏がかなり長くなった。風を通すより断熱性能を上げて少しの空調で快適に過ごせるようにすべきだという考えが主流になったのだ。
その結果、昭和に設定されたエアコンの性能の目安である◯畳用といった数値は意味がなくなり、現在の家に対しては極端なオーバースペックとなってしまった。具体的には、6畳用のエアコンなら現在の基準の断熱性能の家なら18畳くらいはカバーできてしまうほどになったのだ。百歩譲っても12畳くらいは楽勝なはずであり、つまり間取りによっては3倍、低く見積もっても2倍の面積をカバーできる計算が通用するようになったわけだ。実際、建築を依頼したAホームの相談室は16畳ほどあるが、エアコンは6畳用で充分足りている。それほど住宅の断熱性能が向上したのだ。これは知らない人が多いので、ぜひ知っておくべきだと思う。
窓も前述のとおり、大幅に性能が向上した。以前はアルミサッシが標準だったところが、現在は樹脂サッシが標準とされ、断熱性能がかなり向上した。考えてみればアルミは熱の伝導性が高いので、いくら加工が楽だからと言っても、アルミを窓に使うのは理にかなっていないわけで、思えば不思議なことをやっていたわけだ。ただその前は木製の枠の窓だったりした時代が長かったのだから、アルミサッシで精度が高く、軽くて動きがいいだけでも革命的だったのだろう。
現在は樹脂サッシが主流になってはきたが、未だにアルミと樹脂の複合サッシなんてのも存在している。当然樹脂だけのほうが断熱性がいいわけだから、単にコストを少しでも安くしたい向きと、あとはメーカーが儲かるからではないかと推測しているが、今回は当然、選択肢にも入らなかった。
外壁については、東レの窯業系のラップサイディングを選択した。ガルバリウム鋼板を外壁や屋根に使う家も増えてきたが、いろいろ調べた結果、窯業系ラップサイディングにした。外壁材もいろいろある中で、見た目は今住んでいる家と似たようにしたかったし、もともとアメリカンなデザインの家にしたかったというのもある。前回は実母が強く瓦屋根を勧めるのでそれに従った格好だが、当時はアスファルトシングルが日本の建築基準法に通らなかったこともある。現在は建築基準法上も通るようになったことで、今回は重量のことも考えてアスファルトシングルにした。手軽で重量が軽く、補修も簡単だからというのが選んだ理由だ。地震には建物の重量が大きく影響する。それを重視した。
窯業系ラップサイディングもアスファルトシングルも、耐久性だけを考えればガルバリウムより少し劣るが、少なくとも20年ほどは大きなメンテナンスをする必要がない。逆に大きな欠点もないので、選択に迷うことはなかった。ガルバリウムも耐久性が高いのは利点だが、雨音がうるさかったり、電波が通りにくくなったり、デザインが限られるという点が気に入らなかった。他の外壁ではタイルや塗り壁なども考えられたが、見た目やコスト、メンテナンスの手間などを考えて候補から外した。つまり何でも一長一短がある中で、自分の好みで選んだことになる。
ざっくり思い出しても、40年でこれだけの変化があった。やはり時代は変わっていると実感する。人生を一日で例えると、ぼくの場合もすでに夕方にはなっているが、日付が変わるまでにはまだまだ時間がある。新しい家に移り、新しい生活を始めたら、今度こそ思い切り遊びたいと考えている。