2024年10月13日 名作「紫電改のタカ」の電子書籍版

2024年10月13日

 最近はめったに紙の本を買わなくなった。保管場所も大変だし、読み返すときに探して取り出すのも面倒だし、外出時に持ち出すのも荷物になるからだ。その点電子書籍ならスマホやタブレットだけで何冊でも持ち出せるから助かる。
 amazonのKindle Unlimitedでかなりの数の本が読めるが、どうしても読みたい本は有償でも購入することがある。懐かしい名作などがほとんどで、持っていたい本ということになろうか。そんな本の中でも、今回購入した「紫電改のタカ」はちばてつやの名作の一つに数えられるだろう。この作品は紙の本でもコミックスを何度買い直したかわからない。CD-ROM版も買ったし、電子書籍が出たら買おうと思っていたら、SNSのちばてつやのアカウントから出ていることを知ったので、さっそくamazonで購入しようと思ったら、これがかなり安い。一冊あたり¥165で、6冊全部買っても¥990だ。これはぜひ買わなければと、速攻でポチった。嬉しいなぁ。
 この作品で、一つだけ「それは違うだろう」という部分もある。具体的には、「高雄基地 そこには名機紫電で編成された701飛行隊があった」というくだりだ。「紫電」はけっして名機と呼べるほどの機体ではない。特に主脚が特殊な構造で二段階の動作をさせねばならず、故障がかなり多かったのは事実だし、ひどい場合は着陸時に機体が破損してしまうことも珍しくなかったと言うから、極端に言えば欠陥機のようなものだった。ただ素性は悪くなかったので、再設計し直してあらゆるところを改良して作り上げたのが「紫電改」だった。この時点で零戦の後継機たる「烈風」はまだ量産できる状態ではなかったうえ、その性能も予定どおりの数値を満たせるものではなかったこともあって、海軍は紫電改を零戦に続く主力機種とすることを決め、量産に入ったのだが、米軍による空襲による工場の被害や、終戦間際の時期だったことも重なり、ようやく400機ほどが生産されるだけにとどまった。これが悲劇の戦闘機とか、遅れてきた名機などと呼ばれる理由となった。
 当時は戦記物の漫画も数多く出ていたが、そのほとんどが零戦を用いた作品だったし、内容を見ても日本軍が勝っていた華々しい時期を中心に描いていたものばかりだったが、ちばてつやはむしろ終戦間際の紫電改を取り上げ、日本軍が劣勢になってからを描いた。これがこの作品のユニークなところであり、何度繰り返し読んでも味わい深い印象を残す理由にもなっていると思う。
 細かく見れば、「名機紫電」のくだり以外にも、主人公の戦法の詳しい説明がいっさい出て来なかったり、登場人物の1人である菅野大尉の年齢が違っていたりする部分もあるが、それも枝葉の部分であって、この作品の価値を下げるものではない。
 物語の終わり方にも賛否両論があるのはわかるが、個人的にはこの作品らしい終わり方だったと思う。主人公ほどの実力があればそこまでしなくても良かったんじゃないかと思える面もあるにはあるが、これはやむを得まい。
 ともあれ、この名作が電子書籍でやっと手に入った。以前から発売されていたのかも知れないが、気づいたのは今日だった。しかし安価でゲットできたのは嬉しい。合間を見ながら、ゆっくりと読み返したいと考えている。

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