2023年5月21~22日 先輩のお見舞いとフィールドスタイルに行った件

2023年05月22日

 少し前、以前に勤務していたときの先輩の一人O氏から連絡をいただいた。「Mが重病で、ひょっとしたらそんなに長く生きられないかもしれない。仲の良かった連中を何人か集めて見舞いに行くが、こっちまで来られるかい?」。MというのはO氏の同期で、ぼくの直属の先輩だった人だ。2人とも今は名古屋市内在住で、M氏はやはり名古屋市内の病院に入院しているらしい。一緒にランチに行ったりしてよく お世話になった人なので、もちろん行きますと答えた。
 M氏の病名は伏せるが、ぼくの敬愛していたミュージシャンである故Dan Sealsと同じ病気らしい。そうだとすると、確かに命に関わる重病だ。みんなが心配するのも当然だろう。

 さっそく名古屋に向かう準備を始めたが、まずは交通手段をどうするかだ。自分のクルマだと疲れるし途中で酒を飲めないからパス、となると新幹線か高速バスだが、しばし迷った末に高速バスにした。めったに行かない場所でもあるから、できるだけ滞在時間を長くとって、少しは観光などもしたいと考えたからだ。最終的に金曜日の夜行バスで土曜日の早朝に名古屋入りし、一泊して日曜日の夜行バスで月曜日の早朝に戻ってくる形にした。バスの予約に関しても席を確保することができたのでひと安心。
 あとはどこを観光するかだが、いろいろイベントなども合わせて調べてみたところ、アウトドア関連のイベントである「フィールドスタイル」がちょうど同じ土日に開催されることがわかっていた。常滑にある「あいちスカイエキスポ」が会場で、中部国際空港の近くだ。名古屋市内からは電車で約一時間程度なので往復するにも特段問題はない。ということで、宿も現地の近くの東横インⅡを押さえて、O氏からの連絡を待って詳細なスケジュールを決定した。具体的には土曜日の夕方に6名で、また日曜日も夕方に5名でお見舞いに行くことが決定、O氏が両方行くというので、ぼくも合わせて両方とも行くことにした。名古屋で宿泊しても常滑で宿泊しても、フィールドスタイルに2日間とも参加するとどのみち常滑と名古屋の往復が必要になるが、名古屋市内のホテルはなかなか取れなかったし、フィールドスタイルは朝から大行列ができる人気のイベントということで、2日めはホテルから歩いてすぐ行けることから、常滑で宿泊することにしたのだった。まだ2日めはフィールドスタイルが終わったら名古屋駅付近からの高速バスに乗るので、名古屋に戻って夕方にお見舞いのあと居酒屋に行ったり食事をしたりすれば時間がいっさい無駄にならない。

 大宮駅西口のバス乗り場から乗車し、翌朝無事に名古屋に到着した。高速バスは熟睡するのは難しいが、最近の車両はかなり乗り心地が改善したから、ある程度は睡眠が取れるので助かった。降りた場所の最寄り駅から「あいちスカイエキスポ」に行く手順を確認し、PASMOで乗車した。共通して使えるのは便利だよね。
 金山から名鉄に乗り換え、少し行くと海が見えてくる。昔の上司も出身が常滑で、伊勢湾台風のときはひどい目にあったと話していたが、今は当然ながら何の痕跡も感じられない。
 終点の中部国際空港駅から歩いて「あいちスカイエキスポ」に向かう。カラフルな大型の建物で、場所はすぐにわかったが、進むにつれて驚いた。すごい行列ができている。その時点で7時半。開場は9時からだ。前売り券をネットで買ったので、無料パス所有者または前売り券購入済の列に並ぶ。しばらく待って、やっと入場チケットの証であるテープ状の腕輪を配布し始めたが、ほとんどの人が紙のチケットと引き換えている。ぼくのはQRコードを読み取ってもらう方式だが、やってもらっている人が見つからない。心配になって係の人に聞いてみると、「QRと引き換える担当がすぐ来ますので」ということで、しばらくして無事に腕輪を受け取ることができた。

 少しずつ行列が進み、やっと開場時刻になった。中にはかっ飛んでいく人もいる。何か早く行かないと買えない限定商品でもあるんだろうか。
 ぼくにもじつはごく少数しか販売されないもので欲しい物があるにはあったが、それはあまりに少なすぎてまず無理だろうと思っていた。なんせ2日でたった5個しかなく、初日3個、2日め2個で終わってしまうというのだから、とても買えるとは思えなかったので、最初からあきらめていた感じだ。そのぶんゆっくり歩いて回れるので、気楽ではあった。
 フィールドスタイルは今回が初めてだが、見た感じ、ベテランキャンパー向けのかゆいところに手が届く感じの製品が多い。初心者向けもあるにはあるが、長くキャンプをやっている人でなければ気がつかないような渋い製品が多く、けっこう楽しめた。ぼくもいくつか購入したが、名前をレーザーで刻印してくれるMartin'sのナイフと360mlの超軽量の真空二重ボトル、あと安売りしていたキャプテンスタッグのナルゲンタイプのボトル等だ。買い物をすることも考えて大きめのザックを持っていったのが良かった。あとは三菱自動車とオールブラックスコラボのオリジナルTシャツを最後の一枚だったので 衝動買いした。サイズがLしかなく、ぼくにはぴったりすぎたきらいはあるが、着られないわけではない。皮肉なもので、これを購入した直後に別のブースでインスタのアカウントフォローでTシャツを一枚もらうことができて、しかもこちらのほうがサイズがちょうどよかった。なんだかなあ。

 早足だがひととおり回ったと思ったあたりで、目当ての3人のブースへ向かった。「まるみのキャンプ」「Chibii」「徒歩キャンプいずみ」のアカウント名のYouTuberたちで、いずれも女子キャンパーだ。それぞれ人気者で仲良しということで、共同してブースに出店することにしたそうだ。ぼくは3人とも視聴者になっていていずれも動画を毎回楽しみにしているが、中でも「まるみん」はギャグセンスが素晴らしいと思っていて一番のお気に入りのため、コミュニティ「まるみーず」にも入っている。今回は「まるみーず」メンバーには特別に非売品の限定ステッカーをプレゼントしてくれると言うので、それはぜひゲットしたいと思っていた。
 目指すブースには3人とも揃っていた。各自ステッカーなどを販売していたので、それぞれ購入し、最後にまるみんにまるみーずメンバーであることを告げ、特別ステッカーもゲットできた。残念ながら前述の超限定商品はあっという間に売り切れてしまったとのことだが、予想していたことでもあるし、さほど残念ではなかった。買えないのが当たり前で、買えた人はよほど幸運だったのだ。
 3人とも初めて実際に会ったわけだが、全員動画で見たままという感じで、極端な補正などはしていないようだった。みんな自分の娘と言ってもいいみたいな年頃で、変な意味でなく可愛くてたまらない。しかもファンを大事にして一緒に写真を撮ったりサインをしたり、神対応をしてくれる。優しいし楽しそうでいいなあと心から思ったし、2日めも会いに来ようと思った。

 夕方になり、見舞いに行くため会場を出ていったん名古屋に向かい、まるみんに推奨してもらった「味仙」で台湾ラーメンと青菜炒めを食べてから集合場所でO氏たちと合流した(味仙の台湾ラーメンはけっこう辛くて、思い切りすするとむせるほどだったが、味は美味しかった。青菜炒めと交互に食べて正解だと思ったが、小ライスがあったらもっと良かったかも知れない)。全員面識はあるがぼくが最年少で、正直なところ、みんな歳をとられたなあと痛感した。一人はガンを克服した人だが、それ以外はみな元気だったと言う。ただみんな血圧とか血糖値とかはそれなりの数値らしい。年齢からしたらそれが普通なんだろうけどね。一病息災だったらまだマシということか。
 病院名は伏せるが、夕食前後の30分ほど時間を取らせてもらったとのこと。O氏によれば、新型コロナCovid-19騒ぎのため今まで見舞いにも来られなかったが、やっと落ち着いてきたのでみんなに声をかけたとのことだった。きっかけを作ってもらえてありがたいと思った。
 当のM氏と会うのはいったい何年ぶりだっただろう。最初の会社を退社して以来だから、かなりの時間が経過している。当時は100kg近い巨体だったのに、今は80kgもないと言う。正直、最初はあまりの痩せぶりに、M氏とはわからなかったくらいだ。「見違えちゃいましたよ。いつダイエットしたんですか」などとできるだけ明るく言ったつもりだが、本人は苦笑いして「痩せる気はなかったよ。この病気にならなきゃ、 普通に食えてたと思うんだけど」と言った。それだけで全てを悟った。食いたくても食えなくなったんだ。
 それ以降はガンを克服したA氏とM氏がほとんど闘病生活について話しており、他のメンバーはときどき口を挟む程度だったが、30分はあまり長く感じなかった。みんなができるだけ明るく振る舞っていたためだろう。
 「Oさんとぼくは明日も来ますからね」と言って病院を出たが、M氏の嬉しそうにニッコリした顔には、若い頃の面影があった。

 O氏たちと名古屋市内で軽く飲んだ後、O氏は名古屋市内のホテルに泊まり、他の人たちは家に帰るという。ぼくは一杯だけ飲んでみんなに挨拶をして別れ、一人でまた常滑に向かった。ホテルのチェックインの時間に遅れたくなかったからだ。
 日が暮れてから慣れない電車に乗車するのはいささか不安があるものだが、今回はすでに一往復していたからずいぶん安心感がある。無事に中部国際空港駅に到着し、歩いてホテルに向かった。ちょうどホテル付近にコンビニが2軒あり、食材とスマホの充電ケーブルを仕入れてホテルに入った。往路の高速バスの中で、途中から今まで使っていた充電ケーブルが不調になり、給電できなくなってしまったのだ。スマホはまだ新しいし、その充電ケーブルはもう何年も使っていたものだから、たぶん寿命だと思っていた。
 ホテルの部屋に入り、さっそく古い充電ケーブルをコンセントに挿してみたが、やはり反応がない。新しいほうは、もちろん全く問題なく動作している。これで確定だ。古いケーブルはゴミ箱に捨てた。安いケーブルなのに、けっこう長持ちしてくれたと感謝したいくらいだ。今度のケーブルは先端にライトニングとUSB-Cのコネクタを選択できるようになっているので、長く使えそうだ。
 風呂に入ってさっぱりした後、買ってきた食材を広げた。缶ビールとペットボトルのコーヒー、おにぎり、チーズ、ポテチ、あと愛知県らしく小倉トースト。さっきの続きで、一人居酒屋を始めるのだ。テレビをつけたらBSで「男はつらいよ」を放映していた。いつ見ても、何度見ても楽しいな。
 東横インは朝食が無料なので、翌朝まで食材を残す必要がないから、コーヒー以外は全部平らげた。この日はなんだかんだで2万歩ほど歩いたし、ラーメンを食べたのもかなり早い時刻だったから、空腹にもなっていた。
 その日に購入した超軽量の真空二重ボトルを試してみようと、お湯を沸かして入れてみた。8時間後、12時間後あたりまでどのくらい保温されているかを確認するためだが、翌日に飲んでみたところ、12時間後でもカップ麺くらいなら充分に麺がほぐれる程度の温度は維持していた。これはいい買い物だった。容量は360mlだから缶の飲料はたいてい入るし、断熱性能が良ければ熱湯はもちろん氷にも使える。日帰り登山で火器を持っていかなくてもカップ麺を食べられるし、ハイボールも飲めるじゃないか。今まで性能が良ければ重たかったし、軽けりゃ容量が少なすぎるしで、どうも気に入るものが少なかったが、これは気に入った。

 翌朝は6時から朝食が始まるので、時間ぴったりに会場に降りたら、すでに並んでいた。和食と洋食を選べるが、個人的には断然和食である。しっかりご飯を2杯食べてコーヒーも飲み、部屋に戻った。
 チェックアウトは10時までだが、その日もまたフィールドスタイルに行くので、昨日みたいに長時間並ぶのは嫌だと思い、少しでも早く出ようと考えた。その結果、6時45分くらいにはチェックアウトした。
 歩いて「あいちスカイエキスポ」へ向かう。昨日よりも30分以上早く到着した。行列は多少あったが、前日に比べたら圧倒的に短かった。やはり早く来てよかったと思いつつ、これならひょっとして例の「まるみんの限定まいっかシェラカップ」がゲットできるのでは? などと考えたりもしたが、この日の販売予定はわずか2個である。まあ無理だろうな。あったら奇跡だよなと考えていた。
 というわけで、この日は真っ先に3人のブースに向かった。昨日の大盛況で3人とも少し疲れた感はあるものの元気だった。そして挨拶もそこそこにテーブルの上を見ると、あった! 紛れもなく「まいっか」がプリントされた限定バージョンだ! しかも2個とも残っていた。ためらいなく1つを取り上げ、ゲットした。奇跡は起こった! とはいえ、近くに宿泊して急いで出てきたから残っていたのは間違いないので、ぼくの行動が奇跡を呼んだとも言える。これでツキを失ってしまうかもしれないけど、とりあえずは良かったなぁ~(*´꒳`*)。もちろん調子に乗って2個とも買うようなさもしい真似はしないよ。

 この日は「まるみーず」の他の人たちと何人か会うことができた。実はこれがフィールドスタイルに来た目的の一つでもあった。3人に会うこと、3人のグッズをゲットすること、そしてまるみーずメンバーと会うことであった。まるみんのライブなどでもやり取りをしてきたが、みんな温かい人が多いと感じたので、実際に会ってみたいと思っていたからだ。結果として4名と会うことができたが、意外と少なかった。その一人、D・Sさんとはほとんど一緒にいて仲良くなり、いろんなことを楽しく話せた。関東の人なのでまたキャンプなどで会えるかもしれない。

 結果的に3人のグッズもゲットし、場内の材木店で販売していた「まな板」的なものを購入してきて3人のサインをもらうこともできた。どうしようかと迷ったのはまるみん製作のキャンドルたちだった。個人的にキャンドルはほぼ使うことがないし、ロマン枠的なランタンならSnowpeakの「ノクターン」も持っている。記念品ということなら限定シェラカップをゲットできたし、これ以上のものはないので、結局はスルーした。あと彼女たちのグッズは大人気で、遅くなると品切れになってしまうから、あとから来る人も何かしら買えるようにしてあげたい気持ちもあった。
 2日目にはいずみんがYouTube Liveを始め、近くにいたわれわれも何秒か映り込んでいた。その場でもスマホでライブを見ていたから、はたから見るとポケモンGOプレイ状態のようで笑えた。
 最後に、頃合いだと思って席を外していたいずみんを除いてChibiiちゃんとまるみんの両方に握手をしてもらい、会場を後にした。3人さん、会えて楽しかった。ありがとうございました。

 その後はまた名古屋駅に向かい、再度O氏他新メンバーたちと合流し、再会を喜んだ。その日に来たメンバーたちは関東圏の3名で、O氏とぼくを含めると合計5名となる。再度病院に行くと、M氏は昨日よりも元気で、その日は食欲もあったと言う。ぼくらが行ったので元気が出たのなら嬉しいと思った。このときはぼくを含めて全員が同じような割合で会話をした。昔の思い出話がたくさん出てきて、とても懐かしくなったし、こんなに長い間離れていても、こういうときに声をかけてくれたOさんには感謝しかない。嬉しかった。
 時間が来て、病室を出るとき、Mさんはぼくに言った。「元気になったら、また昔みたいにお前と一緒に吉野家の牛丼大盛りを食いたいな。その時はまた名古屋まで来てくれるか?」。「もちろん来ますよ!」。と答えたものの、その後は言葉が出てこなかったが、Oさんが笑いながら、すかさずフォローしてくれた。「牛丼食うためにわざわざ新幹線かよ。ずいぶん手間のかかるやつだな」。するとMさんが言った。「後輩は先輩の言うことを聞くもんだ」。また嬉しそうにニッコリ笑って「みんな、ありがとうな。またな」。と言って手を振った。われわれも手を振り、病室を出た。
 5人で駅の近くの居酒屋に入り、乾杯をすると、Oさんが急に黙ってしまった。どうしたのかと見ると、泣きそうな顔でこう言った。「あいつ・・・調子が悪いときはまともに食えないんだぜ。なのに牛丼大盛りだなんて・・・病人が気を使いやがって」。こっちを心配させまいと、元気を装ったのだ。そう言いたかったようだった。この後、別の店に移動して再開を祝した会話が戻るまで、やや時間がかかった。

 やがて時間も過ぎ、みんなと別れて駅で名古屋土産を仕入れて、バス乗り場に向かった。まだ発車時刻にはかなり早かったが、少し一人でボーッとしたかったのだ。バス乗り場付近で座っていると、各方面にいろいろなバスが出ているのがわかる。いろんな人がいろんな場所で暮らし、いろんな生活をし、いろんな人と出会い別れ、そして死んでいくんだな。そんな事を考えたりしていたら、意外と早く乗車時刻になった。案内の人に導かれ、予定のバスに乗り、夜通し走って無事に大宮まで到着した。
 大宮からは帰宅するぼくとは反対側の方角に向かって多くの人が通勤していた。ここにもたくさんの人たちが住んで、それぞれの生活をしている。みんな一生懸命に生きているんだよな。そんなことを考えながら、家路をたどった。
 Mさん、頑張ってほしいな。きっとまた吉野家に行きましょう。
 楽しいことと、いささかつらいこととを両方味わった旅になった。

© 2025 abu_channel
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう