「翔んで埼玉」に思うこと
「翔んで埼玉」という漫画があり、実写版として映画化もされた。埼玉県民からすればかなり自虐的な内容となっているが、だからといって悲観的にもならず、むしろ埼玉県民だからこそ笑える面も多く、なかなか楽しめる作品となっている。
「ダサい」「ダ埼玉」という言葉に代表されるように、埼玉県は首都圏にありながら、東京や神奈川に比べて下に見られている感が強い。千葉とはいろいろ張り合っており、ライバルと思いつつも逆に仲良しな面もある。
一方で、北関東3県(群馬、栃木、茨城)からは羨望の目で観られることが多い。つまりは関東圏全体では真ん中あたりの位置にいると思われているのだろう。
ぼくは両親の転勤中に秋田市で生まれ、2歳にもならないうちに東京深川に移転し、幼少期を過ごした。小学校から埼玉に移転し、その後場所は変わりながらもずっと埼玉に居住し続けているから、気持ちとしては完全に埼玉県民である。ただし仕事はずっと都内なので、埼玉県内よりもむしろ東京都内のほうが地理的にも詳しかったりするから、
いわゆる埼玉都民というのがもっとも適切なイメージだろうか。ちなみに、現在の家から東京駅まで行くと、ほぼ一時間を要する。これが近いか遠いかは各人次第だろう。
埼玉県は「何でもあるが、何にもない」と言われることも多い。もちろん首都圏だから生活に必要なものは何でも手に入るし、不便さは微塵もない。観光地や景色がいいところもたくさんあるが、かといって栃木の日光や群馬の草津温泉のように世界的に有名なほどのものはないと言っていい。つまりは、飛び抜けたものが見当たらないのだ。ついでに言うと内陸県のため、海もない。個人的にはこれが少し残念な気持ちもあるが、逆に川はとても豊富である。その関東平野の中心部にある地形ゆえ、空がとても広く感じると他県の人に言われたことがある。山が多い地域に住んでいると、利根川や荒川の幅の広さなどは信じられないというのだ。言われて初めて気がついたが、確かに埼玉の空は広い。
埼玉から神奈川に行くのは遠いが、栃木や群馬、茨城に行くには近い。どっちを選ぶかだが、ぼくは北関東3県により親しみを感じるので、現在の居住地に不満は感じていない。都内への通勤にはいささか遠いが、もう慣れたし、あと数年でそれも終わる。そうなれば、今の場所、埼玉に住んでいることの良さを満喫できるかも知れない。