YAMAHA FG-160
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高校時代から YAMAHA ( FG-250(放出済み) と FG-600J )を愛用していましたが、あるとき友人や後輩が持っていたグリーンラベル期のFG-160が、例外なく良く鳴っているのに気づきました。
そのうち自分も欲しくなって、手に入れようと頑張ったんですが、当時はすでに70年代後期、グリーンラベルはおろか次の世代の黒ラベルもわずか二年であっという間に生産中止になっており、その時点ですでにオレンジラベル期に移行していたため、店頭に残っていることはなく、どうしても手に入れることは出来ませんでした。
その後も長い間ずっとFG-160に未練を残したままでしたが、インターネット時代になって状況が一気に変わりました。ヤフー等のオークションにけっこう YAMAHA の古いギターが出てくることに気づいたのです。そこでFG-160に的を絞って程度の良さそうなのを5本集めましたが、さすがに多すぎたのでさらに厳選して3本に絞ったうちの最初の1本がこのギター。
その後、望まれて別のマニアの方のところに1本嫁ぎ、最近になって友人のところにも1本嫁いだので、現在我が家に残っているのはこの1本だけになりました。このクラスのギターは1本あればいいということです。
ある程度使い込まれていてピックウェアが少しあり、塗装も磨いてもぴかぴかにはなりませんが、全体的に見るとまずまずきれいな状態で、個人的には文句のないコンディション。ネックの起きや反りも見られず弦高は正常で、サドルの高さも充分に残っています。この時期の YAMAHA のギターはこの点が重要ともいえるので、ラッキーでした。
鳴らしてみると実にバランスが良く、意外と上品(ここがポイント)で、全体にスムーズに音が出てきて音量も充分なので、すごく気に入っています。気楽に使えるのがまたいい。まるで友達のようなギターですが、こんなにローコストなのに、名器と呼びたくなるほどの鳴りです。 嘘だと思ったら一度弾いてみるべし。(笑)
ネックの形状は太目のカマボコ。若いころからFG-250などと同じこのネックの形状に慣れきっていたので、Martin の細身のネックや三角の形状に初めて触れたときはすごく驚いたのを覚えています。
今では完全に Martin が主力で、YAMAHA のギターを弾く頻度はかなり少なくなったため、YAMAHA を取り出して間もないうちはネックにいささか違和感を覚えますが、それはほんの数分で解消します。やはり若いころに慣れ親しんだ感覚が残っているんでしょうね。
今から思うと、あの当時、この価格でこれだけの音作りをした YAMAHA はすごかった。今は製作技術もさらに上がり、当時以上にいい楽器を作っていると思いますが、あの当時ならではという良さも必ずあると思っています。
現在は鳴りも板の状態もすっかり安定しており、安心して弾けます。真夏の暑い日でも湿気がすごい日でもまったく崩れないのはオール合板の強みでしょうね。一般的には合板は単板に及ばないのが常識ですが、それでもこれだけの音質なんだから、やっぱり名器だと思うのです。
(最終更新 2005.10.15)