K.Yairi BL-85RB(2002)

 2018年12月5日、ヤフオクにて落札。先にMountainブランドの3本を落札したときの出品者である某ギターマニア氏から譲り受けた4本目です。(^^ゞ

 K.Yairiのエンジェルシリーズの中のスモールジャンボのボディサイズを持つBLシリーズの中でもレースウッドというトーンウッドとしては比較的珍しい材を使った機種になります。

 日本では街路樹によく使われているプラタナスの中でも木目が斑紋杢はんもんもく) と呼ばれる板目部分に現れるレース模様のような柄が名前の由来とされるようです。シカモアの中にもこうした模様を持つ木が存在するようですが、じつはトーンウッドとしてもなかなか優秀で、サイド・バックに用いるとけっこういい味を出すのです。

 以前に店頭で他のブランドのギターでこのレースウッドを用いた個体を試奏させてもらったときの印象は「見た目はけっこう派手だけど音色はマホガニーに近い。ただし高音域はマホガニーよりも丸みがある」というものでした。丸みがあると言ってもメリハリが無いわけではなく、マホガニーほどエッジが鋭くないという感じで、おそらくは倍音成分の構成が違うのだろうと思われます。

 ところが肝心のK.YairiのBL-85RBに関してはまだ一度も弾いたことがなかったのです。したがって今回の落札は一度も現物を観もせず弾きもせずでいきなり購入したことになるのですが、K.Yairiの材の良さは定評のあるところなので、今までに試してきたレースウッド材のギターより劣ることはないだろうとたかをくくっていたのでした。

 使用されている材は次のとおりです。

トップ:スプルース単板

サイド・バック:レースウッド

ネック:マホガニー

指板・ブリッジ:ローズウッド

弦長: 645mm

 ナット幅: 42mm

 で、某氏から例によってきっちりした梱包で送られてきたBL-85RBですが、2002年製ということで16年ほど経過している割にとても状態が良く、よくよく見れば多少の小傷はあるものの、肝心なネックの状態やブリッジ付近の盛り上がりなどもまったく問題なく、とてもいい感じの個体でした。さっそくチューニングしていつもどおり数時間放置し、弦が馴染んだところで音を出してみたところ、広がりが素晴らしく、ヌケが良く明快で一音一音の粒立ちが良く、単音でもサスティンの効いたよく延びる音ですが、特筆すべきはコードストロークを弾いたときのまとまり感でしょうか。この点においては手持ちのDYM-95Vにも優る美点だと思いますが、全体の重厚さというか音の厚みについてはサイド・バックがローズウッド単板のDYM-95Vには一歩及ばない感じもします。とはいえ高音域の出方はマホガニーにかなり近いもののその耳当たりの良さは特筆もので、例えて言うならていねいに面取りをした耳かきで耳掃除をしているような心地良さがあります。これがレースウッドという材の特徴なんでしょうね。

 改めてトップの材を良く観てみると、K.Yairiらしく目の詰まった非常にいいスプルース材で、サイド・バックのレースウッドは非常に変わった木目で全体に小さな凸凹があるのが特徴という感じですが、これのおかげでこのギターの特徴ある鳴りっぷりが構成されているのだと思います。ネックもいい感じのマホガニーの良材で仕込み角も完璧、全体のバランスも良く音量もかなりのものなので、トータルではかなり優秀なギターと言えると思います。これはいい買い物をさせてもらいました。(*^_^*)

 惜しむらくはナット幅42mmという細いネック。太いネックが好きなぼくとしてはいささか細すぎるのですが、コードストロークをする際はむしろ好適でもあるし、細いネックは手持ちのRF-701Nで少し慣れたこともあり、さほどの問題にはならないような感じです。

 基本的にはマホガニーに似たきらびやかなサウンドですが、前述のように耳あたりが良いので弾いていてとても心地良いのが嬉しいですね。同じK.Yairiでも他の2本とはそれぞれ個性がまったく違うので、使い分けるのも楽しくなると思います。(*^^*)

 願わくばこのネックのナット幅が44~45mmくらいあって指板・ブリッジをエボニーにして、サイド・バックが良質のホンジュラス・マホガニーだったらどんな感じなんだろうと思ったりしてしまいますが、それだとカスタムオーダーになっちゃうので、欲張り過ぎかな?(^^ゞ

(最終更新日 2018年12月8日)


BL-85RBの画像

レースウッドの木目は角度が変わると模様が変わって見えます(*^^*)

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